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前回疑問に思った、「Kiss-Me-Quick」がホントに植物名としてあるのか、 という課題ですが、植物関係のサイトにも多少は見られるものの、 きちんとした辞書への採用は依然クエスチョン。 プレスリーの"LOVE ME TENDER"のように、幾つも似たようなフレーズが 出来そうで、化粧品関係や、歌の歌詞などにはうってつけなのでしょう。 おそらくは、"Forget-Me-Not"や"Touch-Me-Not"になぞらえた 近年の造語かもしれませんが、垣間見られた範囲で以下に少々メモ。 あちこちからのコピーの上での、文字通りの「備忘録」です。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ @「Forget-Me-Not」、「Touch-Me-Not」と並べて、三種そろえたマニキュアがあるようですが、これ、ほんとの商品? 「Kiss-Me-Quick」の瓶に入っているのは確かにパンジーです。 三種各々の効能書きもよく利いてます。 @植物名サイトでは、確かに「kiss-me-quick」の記載が幾つか見られます。 「Kiss-Me-Quickは晩春から秋にかけて涼しい場所に咲く…云々」 Portulaca pilosa というのが学名とのこと。 "Portulaca pilosa" kiss me quick; shaggy garden purslane @「匂い蕃茉莉(ニオイバンマツリ)」 「ナス科ブルンフェルシア属の常緑低木で、学名は Brunfelsia australis (syn. B. latifolia)。英名は Yesterday-Today-and-Tomorrow, Kiss-me- quick。」 これも「Kiss-Me-Quick」と呼ばれているようですが、「常緑低木」なのでパンジーではありませんね。写真もパンジーとは異なります。 @中国語のサイトでは「快吻我 (Kiss Me Quick)」 「快吻我 & 昨天, 今天和明天 Kiss Me Quick or Yesterday, Today and Tomorrow (Brunfelsia latifolia) 」とあるのは、次の「Brunfelsia」の別名を二つ読み込んだわけでしょうね。 @the Brunfelsia flower これも「Kiss Me Quick」と呼ばれるようですが、「Brunfelsia」とはナス科の低木。 (因みにその名はドイツの植物学者Otto Brunfels1488-1534から) 花の色が数日で紫から白に変わっていくことから「Yesterday Today and Tomorrow」 (Violet yesterday, blue today, white tomorrow)とも呼ばれるとか。 これが "Kiss-Me-Quick"とも呼ばれる理由は、日に日に色が衰えていくところから、 だから「早くキスして!」というわけなんですね。 なるほど…。 黄色の花のものは「Lady of the Night(Brunfelsia americana)」 というそうです。「夜の淑女」ですか…。 @viola tricolor. 「Heart's Ease(心の安らぎ)」とも呼ばれるこの「Viola tricolor(三色スミレ)」は、 古来、スミレが恋わずらいの妙薬と考えられたことからなのでしょう。 その沢山のファンシーネーム(気まぐれ命名)が紹介される中、 「Kiss-Me-Quick」も「Pansy」と共にそのうちの一つに挙げられています。 “Butterfly flower,” “Kiss me quick,” “Kiss behind the garden gate,” “Love in idleness,” “Pansy,” “Three faces under one hood,” “Variegated violet,” “Herba Trinitatis.” 同じく「三色スミレ」の別名として挙げられている“Love in idleness”ですが、 "色を変ずる花"ということから「浮気草」とも呼ばれるこの花、 シェイクスピアの『真夏の夜の夢』のオベロンの台詞に出てきます。 眠っている間に瞼に塗っておけば、目覚めて最初に見る者に対して 一目で恋に落ちるところの惚れ薬は、この「Love-In-Idleness」の絞り汁の 効果なのでした。 Yet marked I where the bolt of Cupid fell: It fell upon a little western flower, Before milk-white, now purple with loves wound, And maidens call it love-in-idleness ... The juice of it on sleeping eyelids laid Will make a man or woman madly doat Upon the next live creature that it sees. (Shakespeare: "Midsummer Night's Dream" Ⅱ-1 ) “しかし(貞潔なる天空の聖女に当たり損ねた)キューピッドの矢が 落ちた場所を俺は見たのだ。 西の空のもと、小さい花の上にそれは落ち、それまでは乳白色だった その花の色は今や恋の手傷に紫色と変わり、それを娘らは 「恋の呆け草」と呼んでいる… 眠っている者の瞼の上にその絞り汁を垂らしておけば 男であれ女であれ、目を開いて最初に見た生き物に ぞっこん惚れこんでしまうというわけなのだ。” (シェイクスピア『真夏の夜の夢』(第二幕第一場)) 坪内逍遥が「懶惰(ぶしょう)な恋草」と訳し、訳者によって「浮気草」などと 訳されるこの「Love-in-Idleness」の"idleness(怠惰)"を、 何も手に付かずボーッと呆けたような状態と解して、 私は上記のように訳してみました。 植物的生理によって次々に色を変ずるだけなのに、人間の側からは (それこそ)色々と解釈して命名するものですね。 それこそファンシー(気まぐれ)な自らの属性を示しているのだろうと 思えます。 @ "Kiss Me Quick Hat" なるものが辞書に見つかったので (「頭の後ろにかぶる縁なし帽」英辞郎on the Web)、 ザッと検索してみると、 中国語のサイトには、こんな説明。 「Kiss-me-quick」と書かれた帽子なのだそうです。 実物の写真はこちら。 The "Kiss Me Quick, Squeeze Me Slowly" hat summarises the English seaside experience. It epitomises English humour and optimism through generally bad experiences. @歌の歌詞では、こんなのもありました。 「KISS-ME-QUICK」 作詞 Chris Mosdell 作曲 Makoto Ayukawa I feel your eyes Eating me I read your look Like a book I know you want, what I want Don't wait, don't wait KISS-ME-QUICK KISS-ME-QUICK I'm waiting for you, baby KISS-ME-QUICK Don't think about it KISS-ME-QUICK 直訳したら陳腐で品のない歌詞になったりもしそうなこんな歌でも 沙翁の手にかかったら、名台詞になったりもするのでしょうか。 あるいはシェイクスピアの作品も、市井の男女の間に展開する 三面記事を入念に洗練化したものだと言えるのかもしれません。 振り返って思えば、我が国の近松などの「心中物」もまた、 そのような(非)日常の洗練化だったのかもしれませんね。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ きちんと調べようとする根気がないので、いまだ気まぐれメモです。 ただ、こんなファンシー・ネーミングの周辺に触れてみると、 舌触りの良いものがドッと評判になったりする例は、 何もケーキ類だけではないことが感じられます。 言葉も又、そんなものが求められ、且つ流行るのでしょう。 いつまでも流行っているものは、いずれ定着し、そしていつしか 辞書がその記載を始めるのでしょう。 今ではどんな辞書でも定番の「FORGET ME NOT」でさえ、 そんな経過を辿ったに違いないのです。 それから、もう一点。 「『白鯨』の一等航海士スターバックは、本当に珈琲好きだったか?」を 以前チェックしたきっかけがそうであったように、一旦、まことしやかな情報が 流れると、このネット社会、検証しないままに皆が次々とコピーして記事を書く、 そんな空回りの情報化が生じてしまう。 これも又、用心しなければならない、という感想を痛感しました。 何より、私自身が安易な引用をしてしまったのですから。 (反省)
by algosj
| 2007-09-01 12:32
| 植物
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