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河瀬直美監督の『沙羅双樹』を鑑賞した。 サラッと観て返却したので以下サラリと (書ければよいのだが・・・)。 ◆ 壁を埋める木製用具を積んだ棚、棚々…。 何処かで見たことがあるような気がする。 続く倉庫風の部屋にも、圧縮万力等々…。 カメラはそれらを部屋の外から見つめて 進んでゆくと、窓ガラスに映る子供の影。 カメラが振り向くと男児二人の遊ぶ様子、 消火バケツの前にしゃがみ込んでいるが、 一人が立ち上がって駆け出すと、続いて もう一人の男児も、影のように彼を追う。 ◆ 細長く暗い路地を抜けて、通りに出ると、 鬼ごっこのように、前後して二人は走る。 背丈も衣服も酷似する二人を、カメラは 長回しで追うのだが、先に行った少年が 突然フイと消えてしまう。残された子は、 赤い鳥居のある空間を、不審そうに窺う。 ◆ 五年が経過し、高校生になった双子の弟 俊は、美術室で女生徒夕の似顔絵を描く。 家では、失踪した兄の圭とも自画像とも つかぬ等身大の暗い絵を描き続けている。 ◆ 自宅鴨居に「静坐研墨」とあるのを見て、 冒頭の木製器具と万力が墨を造る道具で あったのだと分かった。更に「長生安楽」 の額も掛かっている。父親の卓が真剣に 墨を磨り、紙に記すのは「陰光」なる字。 後ろで神妙に正座で控える妻の礼子と俊。 ◆ 作墨職人にしては字が下手だ、字句も劣。 道具の仕舞い方からすれば、既に廃業か。 それで祭りにはのめり込む。生業なしの 地域の祭りとは何なのか、寅さんだって 立派にテキ屋の仕事をしているでないか、 とは、思わず余計なお世話でありました。 ◆ 母礼子は臨月に近い状態だが畑仕事にも 精を出す。父の卓は地域伝統行事である 「バサラ祭り」の企画の中心として働く。 五年前に失踪した兄の圭が発見されたと いう警察の知らせに、激しく動揺する俊。 ◆ 自宅の居間で皆に囲まれて出産する礼子。 無事生まれた赤子を祝う歓びに包まれて、 皆が集う居間を映していたカメラがふと 退いて暗い路地を進むと、聞こえてくる、 あの時の、あの男児二人の密やかな会話。 ◆ カメラは男児らが遊んでいた庭から更に 作墨場の建物へ昇ると、屋根を伝った後、 空へと視野を映し、奈良の街の屋根屋根、 更に東大寺を彼方に眺めつつ、春日山の 原始林の上を翔ぶ。眼下には鬼子母神を 祀る神社もあったのではなかったろうか。 夕がピアノで爪弾いていたあのUAの曲が、 かそけくも、然し深く、空に満ちてゆく。 ◆ 河瀬作品も、そろそろご馳走様にしよう。 今回の作品は「子消し・神隠し」の主題、 消えていく命に生まれてくる命…ならば それこそ、先日シスターに頼まれて仏語 版の『千と千尋の神隠し』を取寄せた時、 仏語題は"Le Voyage de Chihiro"だけど、 英語題では"Spirited Away"と言うことに 興味が惹かれた。spirit には「幽霊」や 「悪鬼」の意味もあるのは周知だけれど、 「神隠しのように連れ去る、隠す」との 動詞の用法があったことに気付かされた。 ◆ そしてラスト定番の、魂が空を翔ぶ場面、 (グーグルマップでチェックしたのだが) 眼下の原生林には、子を攫っては食うと 言われる「鬼子母神」の存在も仄めかす カメラワークはニクイと思った。しかし 同時に遥か森の彼方に、大仏殿の屋根が 見えるのも救いが窺われるようであった。 ◆ みまかったカブトムシも、身体は残して 本体は何処かに隠れたとも言えるのかも。 夜と朝の間の薄明の時に”spirit(妖精)”が 跋扈するのは、愛蘭土だけでもあるまい。 ◆ 因みに仏語版DVDで”千尋CHIHIRO”は 「シイオ」といった発音の筈なのだが、 「シホ」と呼んでいるように聞こえた。
by algosj
| 2016-08-07 22:53
| 映画
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