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◆美しい緑の広がる中を静かに村の葬列が行く 鉦(かね)の音と白い二本の幟(のぼり) 「生滅滅已」と「寂滅為楽」の文字が見える (前列は「諸行無常」と「是生滅法」の筈) ◆古民家風の老人ホーム 新任職員の真千子は、独り住まいの家に帰れば幼い男児の写真に灯をともす 「あの時、何故手を離したんだ!」と夫に責められる回想 入居者のシゲキは、妻の真子を亡くして33年が経ち、他者とのコミュニケーションもおぼつかない 夜半、自室のピアノに並んで座ってメロディーを奏でるシゲキと亡き妻 「私は生きてるんですか?」 シゲキの問いかけに僧侶は仏教の死生観を説き、奥さんは三十三回忌ゆえ向こう側に居て、もう帰っては来ないのだと諭す ◆決して人に触らせないリュックを背にシゲキは、真千子運転の車で出掛けるが農道にて脱輪 真千子が人を呼びに行ったりした挙句、やがて森の中を進むシゲキ そしてその後を不安気に行く真千子 (ホーム入居者・患者に付き添う職員の危機管理意識などの指摘を観客は持ち出してはいけない 映画は、深い心の傷を負う二人の森の奥での「復活」をテーマとするのだから) ◆亡妻の墓を探すように深く森に分け入るシゲキ 茂みのトンネルを潜る二人 小川に脚を滑らすシゲキ 転んでも決してリュックを離そうとしないシゲキに 「そんなにそれ大事?自分より大事なん?」と問う真千子 「此処におったらええねん」とシゲキの肩を抱く真千子 小川を渡ろうとするシゲキを必死に止める真千子 突然奔流となる小川のフラッシュバック 「渡ったらあかん、行かんといて!」 (亡児の事故へのPTSDでもあり、シゲキが三途の川を越えることへの阻止でもあろう) 「お願い、行かんといて!」と泣き崩れる真千子は既にパニック 「行く川の流れは絶えずして、しかも…」と真千子の頭を抱いて慰めるシゲキ ◆一夜が明け、薄明の森の中で亡き妻とワルツを踊るシゲキ ようやく妻の「葬り所」に辿り着いた二人 リュックを開けると、小さな手回しオルゴールと、妻が死んでからの日記三十二冊(1973-2006) 穴を掘って自らその中に入り、胎児のように丸まってリュックを抱えたシゲキ 樹間を漏れる光を見上げて、真千子はオルゴールを回す あのピアノのメロディーである ◆幸せな微笑みを浮かべてメロディーを口ずさみ、瞑目するシゲキ 三十三年の年忌が明けて、彼はようやく亡妻の傍に安らうことが出来たのだ 空に向かってゆっくりオルゴールを回し続ける真千子 悲痛な面持ちにやがて笑みが溢れ始める 真千子にとっての「喪」が今、明けたのだった カメラは二人を見下ろしつつ上昇し、そしてゆっくりと樹間を漂う ◆エンドロールのクレジットによれば音楽担当は、前作『萌の朱雀』と同じく茂野雅道の名 両作ともに雨垂れや風の音にも似たメインテーマは、各々、針音のするレコード音楽であったり、手回しオルゴールであったりと、敢えて骨董的古色細工を施してある。
by algosj
| 2016-07-30 23:28
| 映画
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