S田君の話の前に、ちょいと寄り道。
久し振りにS先生とお話しする機会を得た。
小雨降る窓の外を眺めつつ一時を過ごした。
人の世の定めと自らの未熟を今更ながらに痛感した。
帰路の列車はガランとして、雨の雫が窓を流れた。
いつの間にか、ウィスキー・フラスコの中身も底を尽いていた。<*>
<*>「
Whisky Flask(ウィスキー・フラスコ)」
「ヒップ・フラスコ」とも呼ばれるように、尻のポケットに入れて
フィットするような独特の形状が特徴。
その微妙なカーヴが、手に取って口にする時にも具合がよい。
実は最後の一滴までスムースに飲めるためにあの形状がある
ということは、使ってみて初めて判る理屈。
内部を洗うことが難しいため蒸留酒(spirits)しか使用できない。
それも嬉しい制限だ。列車の一人旅にはこれと本があればよい。
「スキットル」とも言われるのだけど、"skittle(s)"を辞書で引くと
「九柱戯(nine pins)」という訳語がある。
そのピンにこのボトルの形状が似ているからだそうだ。
"Life is not all beer and skittles."
(人生は楽しみばかりとは限らない)という例文が載っていた。