先日の夕刻、市役所前の広場を通りかかったところ、
薄暗い中にちょっと異様な数人。
広げたシートには、シタールかヴィーナのような印度楽器が見える。
一頃の暗黒舞踏風…と思っていると、その数人が駆け出した。
(土方巽がスイカを小脇に走ったイメージ!)
足首の鈴を鳴らして彼らが近づいたその場所には天体望遠鏡が一台。
(この広場には時折、天体望遠鏡オジサンが出没するのです。
というか、天体観察普及の好意的プロモーションなのでしょう。
私もたまに覗かせてもらいます…)
「ほら、土星が見えるでしょう?」
「ほんとだ、リングまではっきり!」
土星探査機カッシーニのもたらす情報では、土星の衛星エンケラドスには
微量の大気や湖の跡とも見られる形状があるとのこと。
ギリシャ神話の巨人エンケラドスは、女神アテナからシチリア島を投げられ、
今もエトナ山の下に埋まったまま暴虐の焔を吐き続けているそうだ。
土星の衛星の地中にまでも、彼の怨念の脈絡が通じていると考えるのも
面白い。
宇宙的事象の最先端の地平に、神話的イメージが呼び起こされる時、
西洋の文化文明の中心を貫く「古典」の力を感ずる。
日本の向かう方向に、その力は残っているのだろうか…
過日紹介の
文阿弥が師事した大野一雄は、「暗黒舞踏」の領袖とも
言われる人物。
幾度かその舞台に接することがあったが、その立ち姿には一種のオーラが漂っていた。
車椅子の状態でも踊っているという話を聞いて久しくなるのだが・・・。
文阿弥関係で知り合った
ギリヤーク尼崎も、一頃まで賀状のやりとりやら、
正月の差し入れをしていたこともあったのだけど、確かもう喜寿の年。
まだどこかの国の街頭で踊ったりしているのだろうか…。
宇宙の物質の全質量の大半を占めるのが
暗黒物質(ダーク・マター)
だと言われている。
その特質は、
・眼には見えないけれども質量がある。
・私達の周りにあって、すり抜けていく。
・宇宙の初期に作られたので安定している。
現在、暗黒物質の正体は未知の素粒子ではないかと言われているが、
かの「暗黒舞踏」も又、確かに存在した大地の息吹だったように思う。